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確定申告で慌てずに済む!不動産所得の必要経費とは?

「不動産投資で利益を得られたのは良いけれど、確定申告のルールが良くわからない……」「この支出って必要経費に計上してもいいの?」

不動産投資をしていると、このようなお金に関する問題に度々ぶつかります。こうした問題に直面するたびに、いちいち対処法を調べるのは面倒ですよね。

そこで今回の記事では、税金に関する基礎知識から、経費にできる支出の範囲、更には給与所得者の確定申告の具体的なやり方までをまとめて解説いたします。

はじめての確定申告を前に不安な方は、是非参考にしてください。

不動産所得があるときの税金の計算方法

不動産所得を得た時は、その所得にかかる税金(所得税・住民税)を自ら計算したうえで納税します。

基本的には、所得が増えるほど、税金も増える仕組みになっています。

税金の計算と聞くと難しそうなイメージがありますが、実はその計算方法はとても簡単で、3つのステップを経るだけOKです。

ステップ1:不動産所得の金額を計算してみよう

まずは、不動産所得の金額を計算します。不動産所得とは、保有する不動産で得た収入から、支出した経費を引いたものです。式で表すと以下のとおりです。

不動産所得の金額=総収入金額-必要経費

総収入金額とは、不動産によって得られたお金のことです。毎月の家賃のほか、返還義務のない敷金や保証金、共益費などの名目で受け取る、電気代や水道代などが該当します。

必要経費とは、不動産収入を得るために使ったお金のことです。固定資産税、修繕費、管理委託費用などが該当します。詳しくは後述します。

ステップ2:所得税を計算してみよう

税金(所得税・住民税)の税額は、原則として総合課税で計算します。

総合課税とは、複数の種類の所得をすべて合算し、その所得額に応じて税額を決める仕組みです。

給与所得(会社員や公務員替えている給料)、事業所得(自営業者が事業で得ている所得)は、いずれも総合課税の対象です。

例えば、不動産所得を得ている会社員の所得は、以下のように計算します。

所得=給与所得+不動産所得

次に、ここから課税所得を計算します。計算式は以下のとおりです。

課税所得=所得-所得控除

課税所得とは、所得から基礎控除や配偶者控除、扶養控除、障害者控除などの所得控除を差し引いた金額です。

所得控除とは、特別な事情を抱えた人の税金を減らすための仕組みです。

扶養控除は、扶養家族がいる人の税負担を減らすためのものであり、障害者控除は障害者の税負担を減らすためのものです。

扶養家族がいる人、障害者の人などは、そうでない人と比べて税負担能力が低いため、このような措置の対象となります。

ここまで来たらあと一息。計算された課税所得を元に、所得税額を計算します。計算式は以下のとおりです。

所得税=課税所得×税率-税額控除額
課税所得額 税率 税額控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 9万7500円
330万円超695万円以下 20% 42万7500円
695万円超900万円以下 23% 63万6000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6000円
4,000万円超 45% 479万6000円

ステップ3:住民税を計算してみよう

所得税と比べると、住民税の計算方法は非常にシンプルです。住民税には、都道府県民税と市町村民税があり、それぞれの計算式は以下のとおりです。

・住民税(都道府県民税)=1500円+(前年の課税所得×4%)-税額控除
・住民税(市町村民税)=3500円+(前年の課税所得×6%)-税額控除
・住民税合計=住民税(都道府県民税)+住民税(市町村民税)

税額控除とは、住民税を計算する時に直接税金を減らせる仕組みです。

住宅ローン減税がその代表例ですが、なにも適用されない人のほうが多いです。また、住民税は所得税と違い前年の所得を元に計算するので注意が必要です。

税金をシミュレーションしてみよう

ここまで紹介した計算式を使えば、誰でも簡単に税額のシミュレーションができるようになります。以下のサンプルを元に、実際に計算してみましょう。

  • 給与所得:450万円
  • 不動産による総収入金額:400万円
  • 不動産に対する必要経費:250万円
  • 所得控除:100万円
  • 前年の課税所得:500万円
  • 税額控除:0円

ステップ1:不動産所得の計算

不動産所得=400万円-250万円=150万円

ステップ2:所得税の計算

  • 所得=450万円+150万円=600万円
  • 課税所得=600万円-100万円=500万円
  • 所得税=500万円×20%-42万7500円=57万2500円

ステップ3:住民税の計算

  • 住民税(都道府県民税)=1500円+500万円×4%-0円=21万5000円
  • 住民税(市町村民税)=3500円+500万円×6%-0円=33万5000円
  • 住民税(合計)=55万円

節税するにはどうすればいいの?

すでに勘が良い方はお気づきかと思いますが、税額を減らす、つまり節税する上で最も有効な方法は、経費を増やすことです。

経費が増えれば増えるほど、不動産所得が減り、その結果所得税も住民税も減るからです。

ただし、不動産投資にかかったお金が全て経費とできるわけではありません。その点については次項で詳しく説明します。

不動産投資で必要経費と認められる項目

不動産投資の必要経費は範囲が限られており、一見経費にできそうでできないものがあります。逆に必要経費には、できなそうで、実はできるものもあります。

ここでは不動産投資の必要経費として認められるものの中でも、代表的なものを8つ紹介いたします。

1. 租税公課(税金)

租税公課とは、簡単に行ってしまえば税金のことです。不動産投資で発生した以下の税金については、必要経費とすることが出来ます。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 利子税
  • 消費税
このうち、最もウェイトが大きいのは固定資産税・都市計画税です。

固定資産税とは、土地や家屋などに対してかかる税金です。また、一部の地域(主に都市部)では、それに都市計画税が上乗せされます。

計算方法は以下のとおりです。

  • 固定資産税=固定資産税評価額×4%
  • 都市計画税=固定資産税評価額×3%

固定資産税評価額とは、固定資産税を計算する際に設定される不動産の評価額で、おおむね時価の70%に相当します。

例えば、時価1000万円の土地の固定資産税評価額は700万円ぐらいになります。

この土地の固定資産税は、700万円×1.4%=9.8万円です。ただし、土地の上に建物が載っている場合は、減免措置を受けられることがあります。

なお、以下の税金は必要経費にならないので注意しましょう。

  • 所得税
  • 住民税
  • 加算税・修正申告や無申告等によりかかる税金

2. 減価償却費

減価償却とは、建物の取得費用を複数年(建物の耐用年数)に渡って振り分ける仕組みのことです。

不動産は何年にも渡って使い続けるものであるため、実際には1回(1年)しかし払ってない費用を、複数年に振り分けることが認められています。

必ずそうしなければいけないというわけではありませんが、そうしたほうが課税所得を減らせる分、節税になります。

例えば、1億円の新築鉄筋コンクリートマンション(耐用年数47年)を購入したとします。

仮にこれを減価償却しなければ、買った年だけ1億円の経費がかかることになります。

その年はおそらく赤字になるため所得税はかからないでしょうが、2年目以降の経費は少なくなってしまいます。

一方、減価償却した場合、1億円を47年にわたって均等に支出したものとみなすことが出来ます。

1億円÷47≒217万円ですので、買った年から47年に渡り、毎年約217万円の経費をかけたとみなせるのです。当然、毎年の課税所得が経るので、その分税金も安くなります。

なお、耐用年数は、建物の構造や用途によって異なります。例えば新築鉄筋コンクリートマンションは47年ですが、新築木造アパートは22年です。

詳しくは、国税庁のホームページをご覧ください。

3. 修繕費

修繕費とは、建物の修繕にかかる費用です。建物はどんなに素晴らしいものでもいずれ老朽化します。

古くなって価値が低下した建物の機能を回復させるためには、修繕が必要不可欠です。

  • 部屋のクリーニング
  • 壁紙交換
  • 設備の交換

などにかかった費用は、いずれも修繕費として計上できます。

ただし、固定資産の価値を高めるような大規模な修繕は、資本的支出として固定資産に計上した上で減価償却の対象とします。

4. 借入金利息

不動産をローンで購入した場合、毎月借入金の返済をすることになるかと思います。

毎月の返済額は利息と元本に分けられますが、そのうち利息の部分については必要経費として計上できます。

年末になると借入先の金融機関から、利息と元本をそれぞれいくら払ったかに関する表が送られてきますので、それを確認してください。

5.損害保険料

火災保険、地震保険に加入している場合、その保険料は全額必要経費として計上できます。

ただし、複数年分の保険料をまとめて支払った場合でも、必要経費にできるのは当年度分のみです。

6.管理委託費用

アパートやマンションの管理を不動産管理会社に委託していた場合、その費用は必要経費として計上できます。

7.広告宣伝費

入居者募集のために不動産会社に支払った広告費は、必要経費として計上できます。

8. 税理士・司法書士費用

不動産投資のために税理士や司法書士を雇った場合、その報酬を全額必要経費として計上できます。

確定申告のやり方・手順

不動産所得を得た場合、確定申告を行う必要があります(年間2000万円以下の給与所得者でなおかつ不動産所得が20万円以下の場合はしなくてもよい)

確定申告の期間は、翌年の2月16日から3月15日(曜日の都合で多少ズレることあり)であり、この期間中に確定申告を行わなかった場合は延滞税がかかります。

早めに準備して、なるべく2月のうちに申告を済ませてしまいましょう。

ステップ1:税務署に青色申告承認申請書を提出する

確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。

以前は「帳簿の作成義務があるが控除額が大きい青色申告」「帳簿は作らなくてOKだが控除額が小さい白色申告」と棲み分けがされていたのですが、2014年1月から白色申告でも帳簿の作成義務が課せられるようになったため、白色申告のメリットはほぼなくなりました。

一応、白色申告は簡易的な記帳でいいということになってはいますが、最近は簡単に青色申告に対応した帳簿が作成できるソフトやクラウドがたくさんあるため、基本的には青色申告を選ぶことをおすすめします。

ただし、青色申告をするためには、申告の対象年の3月15日まで(1月16日以降に開始した場合は開始日から2ヶ月以内)に、青色申告承認申請書を税務署に提出しなければなりません(一度提出すれば、翌年以降は何もしないでも青色申告ができるようになります)。

すでに期間が終わってしまっているという場合は、今年は白色申告で我慢しましょう。

ステップ2:日々の記帳と必要書類の保管

不動産投資では、日々収入や経費が発生します。それらのお金の出入りは全て記帳し、経費を支出した場合は領収書も保管します。

領収書は、確定申告時に提出するものではありませんが、税務調査が入った時の証拠となりますので、ファイルにまとめるなどして保管しておきましょう。

領収書が万が一なくなってしまっても支払いの証拠を残すために、支払いはなるべく現金ではなく、カードや銀行振込を利用することをおすすめします。

前述の通り、最近は青色申告に対応した帳簿が作成できるソフトやクラウドがたくさんあります。

いずれも年額1万円程度で使えますので(この費用も必要経費として計上できます)、使ってみてください。

ステップ3:必要書類を元に確定申告書を作成・提出する

確定申告の時期の前に、必要書類を揃えます。代表的な書類は以下のとおりです。

  • 源泉徴収票
  • 領収書など、経費がわかるもの
  • 決算書/収支内訳書等の明細書・計算書
  • 各種控除を受けるための証明書
  • 登記簿謄本や住民票など

これらの書類を元に、確定申告書を作成します。

確定申告書は税務署からも取得できますが、クラウドソフトを使っている場合は、そのソフトで作成できることが多いです。

いちいち手書きするのも面倒ですし、ソフトで作成することをおすすめします。

前述の通り提出期間は2月16日から3月15日までですので、遅れずに作成しましょう。

提出方法は郵送、持参の2種類です(e-Taxという電子的な提出もありますが、却って面倒なのでおすすめしません)。

よくわからない場合は税理士に任せてしまうのも手

会社員の方は普段会社に確定申告を任せているはずですので、自分でやるのは億劫かもしれません。

そんな時は税理士にすべてを任せてしまってもいいでしょう。

費用はかかりますが全額必要経費として計上できますし、なによりプロフェッショナルなので安心できます。

まとめ

はじめての確定申告は何かと戸惑ってしまいがちですが、実はその仕組は意外と簡単です。

日々の記帳、領収書を必要とする書類の保存、そして確定申告書の提出。この3つの基本さえ抑えておけば、たいていの問題は乗り切れます。

それでも不安だという方には、税理士に依頼するという方法もあります。

不動産投資に取れる時間や自身の都合に合わせて、最適な方法を選んで確定申告を終わらせてしまいましょう。

[記事公開日]2019.01.10
[ライター]佐久間