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中小企業のM&Aにおける注意点とは?事業売却で注意すべき6つのポイント

一昔前であれば、中小企業の経営不振や後継者がいないなどの場合、会社をたたむしかないと思われていました。
しかし、最近では、M&Aを行って、事業を優良企業に売却することで継承するという道が開けてきました。
今回は、中小企業のM&Aが増えている理由や、M&Aにおける注意点など、詳しく解説していきます。

中小企業のM&Aが増えている理由

中小企業の経営者の方であれば、経営が不安定になってきた時には、一度はM&Aを検討してみたという方も多くいらっしゃるでしょう。リーマンショック以降、M&Aの件数は増加しています。ところが、ここ数年の間にM&Aの成約件数は増加していても、成約金額は減少しています。

それは、主に規模が小さめの中小企業のM&A案件が増えているということになります。

では、なぜ中小企業のM&A案件が増えているのでしょう。その理由を考えてみたいと思います。

後継者不在による事業売却が増えている

近年、中小企業における高齢化が深刻な課題となってきています。

2017年の中小企業庁の報告によれば、日本の中小企業の経営者は、2022年までに30万人以上が70歳を超えますが、現在1/3の企業では後継者が不在となっています。

後継者がいない理由としては、少子化の影響で後継ぎとなる子供がいない、従業員の中からも後継者を見つけられないということにあります。

古い体質を脱却とIT化への対応のため

中小企業にとって問題となっているのは、経営者の高齢化だけではありません。昨今のIT化のスピードについていけない中小企業が増えています。

IT化による効率化、人件費などのコスト削減ができなければ、企業競争に負けてしまいますから、積極的にITやIoTへの対応が迫られています。

しかし、自力でIT化を果たすことが難しいので、IT化の進んだ専門業者との資本提携を行うことにより、会社の古い体質を脱却する目的で、M&Aが行われるケースが増えています。

M&Aを行いやすい環境が整ったため

一昔前は、M&Aというと大手企業が大規模に行うものでした。

最近は、個人レベルからのM&Aも行われるようになり、マッチングサイトで気軽にM&A案件を検索することもできます。

そして、M&Aに対するイメージも、「乗っ取り」というようなネガティブなイメージではなく、事業拡大や雇用安定のための資本提携と捉え、ポジティブなイメージが浸透してきたことも一因となっています。

国や金融機関の支援が充実したため

2017年11月には、野村ホールディングスが、事業再生や継承に取り組む企業に1000億円規模のファンドを設立、投資を発表しました。

そして、2017年12月には、中小企業庁により、中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置が創設されました。

こうした、背景も中小企業のM&Aを後押ししていると考えられます。

中小企業のM&Aで絶対に気をつけるべき注意点

事業を売却する側は、経営不振や後継者がいないなどの不都合があるとは思いますが、足元を見られて、不当な条件で契約してしまうということにならないように、慎重に交渉を行う必要があります。

ここでは、注意するべきポイントをご紹介します。

1. 企業文化がうまく融合できるか見極める

事業売却が成功したとしても、そこは着地ではなくスタートです。経営者が退く場合でも、残された従業員や会社の行く末をしっかり想定しておきたいものです。

自社の企業文化と、売却先企業の文化がうまく融合できない場合、従業員のモチベーションが下がり、退職者が続出するというような事態になっては元も子もありません。

デューデリジェンスを行うのは買い取り側になりますが、売却する側も、条件面だけではなく、先方企業の考え方や習慣など細かいことに至るまで調査しておくことが必要です。

2. 待遇面の条件を入念に話し合う

買収後、残留する役員、従業員の待遇の条件については、入念に話し合いを行う必要があります。

例えば、売却側の従業員の報酬は現状維持という契約だった場合でも、買収後に不本意な部署や事業所に異動させられてしまう、というケースもあります。

従業員の待遇については、詳細に至るまで、しっかりと話し合っておくことが大切です。不当な要求については、きっぱり断る姿勢も大切です。

3. 様々なケースを想定して決める

M&Aには、いろいろな方法があります。

  • 経営者が退任するか、しないか
  • 売却するのは事業の全部か、一部か
  • 株式を譲渡するのか、持ち合うのか

各ケースを入念に検討して、一番いい方法を選ぶようにします。

4. 全ての情報を開示する

後々にトラブルが起きないように、すべての情報をしっかり開示しておくことが大切です。

ネガティブな情報を隠していて買収後に発覚した場合、最悪、損害賠償を請求されることがあります。

5. 交渉は第三者を立てる

特に、M&Aが初めてという会社の場合、慣れないことも手伝い、条件交渉において、買い手側のいいなりになってしまうことがあります。

また、妥協してしまう、大切なポイントを見落としてしまう、トラブルが発生するなど、満足の行く結果が得られない場合もあります。

慣れない場合は、条件交渉を専門家に依頼することで、見落としのない、好条件での交渉が可能となります。

6. 仲介業者の手数料計算はしっかり行う

M&A仲介業者に依頼する場合は、費用のシミュレーションはしっかり行います。

一般的に、手数料は取引価格の〇%という計算をしますが、その「取引価格」の計算の仕方が異なります。

例えば、株式の価格が1億円、負債総額が3億円であった場合を見てみましょう。

譲渡金額を基準とした場合:手数料計算は、1億円x5%=500万円
移動総資産を基準とした場合:手数料計算は、(1億円+3億円)×5%=2,000万円

と買い手側の手数料に大きな差が出てしまいます。仲介業者がどちらを採用しているかを確認しておく必要があります。

※買い手側は手数料を織り込んだ価格を提示しますから、買い手の手数料が増えてしまうと売却額が安くなってしまいます。つまり、負債がある会社を売却する場合は、仲介業者の計算方式を事前に確認しておくことが大切です。

M&Aを成功させるなら仲介会社に依頼すべき理由

モレのない有利な条件交渉のために

M&Aを何度も経験している会社であれば別ですが、初めてというケースでは、勝手がわからないことも多いと思います。

たとえば、従業員の報酬については決定していても、買収後のポジション維持について話し合っていないと、不当な左遷や配置転換などをされてしまうこともあります。

M&Aの仲介会社に依頼することにより、専門家の目で見た条件の正当性を見極めてもらうこともでき、また、モレのない交渉を行うことが可能となります。

最も適した買収先を探すことができる

買収先は、自身で探すことも不可能ではありません。取引先、知人などを頼りに、話を持って行くこともできます。

しかし、そのような当てがない場合は、仲介業者に依頼する方が良いでしょう。

仲介業者であれば、最も適した買い取り先を見つけることも可能ですし、逆に一見よさそうであっても、内情に問題があるなど、会社の実情を教えてもらえることもあります。

何よりも交渉は、プロの中立な立場で行う方が安心です。

トラブル発生時も安心

交渉中あるいは売却後に、トラブルが発生することもあります。

当事者同士ですと、なかなか話がまとまりにくいこともあり、また、M&Aに慣れていない経営者の方ですと、泣き寝入りをしなくてはならなくなることもあります。

しっかりと、事の正当性を見極めることのできる専門家についてもらうことで、トラブルが発生した際にも安心することができます。

まとめ

近年、中小企業の後継者不足によるM&A案件が急増しています。

国や金融機関の支援もあり、環境も整ってきていますから、一昔よりはM&Aも行いやすくなってきています。

それでも、売却側は弱い立場にありますから、交渉において不利な条件を突き付けられがちになります。

条件のモレをなくし、少しでも有利な条件での交渉を行うためには、仲介業者に依頼することが好ましいです。

[記事公開日]2019.01.10
[ライター]natsu