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M&A市場の動向について

M&A市場の動向について

1985年以降、徐々に活発化してきたM&Aは2006年をいったんピークとして、リーマンショックを機に急減します。

そして、東日本大震災以降から現在に至るまで、急ピッチでM&A市場が回復し、2017年にはM&Aの件数は3,000件を超えて、過去最高となりました。

公表されているM&Aの件数と成約金額を見てみると、下記のような推移となっています。

1985年以降のマーケット別M&A件数の推移

1985年以降のマーケット別M&A金額の推移

(注)IN-IN:日本企業同士のM&A  IN-OUT:日本企業による外国企業へのM&A  OUT-IN:外国企業による日本企業へのM&A
参照:MARR Online https://www.marr.jp/mainfo/graph/

2017年の動向

2017年の成約件数は過去最高ではありましたが、成約金額を見てみると、前年比3兆3千億円ほどの減少となりました。

IN-IN(国内同士)のM&Aだけに注目すると、件数の上昇に反して、成約金額は2015年以降で減少しています。

つまり、IN-INでは、大型案件が減少して、規模の小さいM&Aの件数が多くなっているということになります。

これは、最近問題となっている、「中小企業における高齢化する経営者の後継者不足による会社の譲渡」が増加していることに起因していると思われます。

中小企業庁の2017年の報告では、2022年までに、30万人以上の中小企業の経営者が70歳になるにもかかわらず、そのうち6割が後継者未定とのことです。

こうした経営者が、コストをかけて廃業するよりは、M&Aにより事業を売却し売却益を得ることができる方法を選ぶケースが、ここ数年増えているようです。

また、IN-OUT(国内の会社が海外の会社を買収)の件数は、2010年以降それほど大きな変化はありませんが、成約金額は2014年までに比べて、2015年以降で大きく増えています。

つまり、1件あたりの金額がとても大きいということです。

これは、現在の国内市場の成長が飽和状態となり、企業の目が海外に向いているということも一因です。しかし、2017年になり、その傾向が少し落ち着きつつあるようです。

2016年と2017年の詳細な数字を見てみると

2017年
マーケット 件数 成約金額
IN-IN 2,180件 2兆1,994億円
IN-OUT 672件 7兆4,802億円
OUT-IN 198件 3兆6,640億円
合計 3,050件 13兆3,437億円
2016年
マーケット 件数 成約金額
IN-IN 1,816件 3兆6,534億円
IN-OUT 635件 10兆4,012億円
OUT-IN 201件 2兆5,588億円
合計 2,652件 16兆6,134億円

となっており、2017年は2016年に比べて、
件数は
IN-INは19.9%増
IN-OUTは5.7%増、
OUT-INはほとんど変化なし
となりました。

金額では、
IN-INは41.3%減、
IN-OUTが29.3%減、
OUT-INが42.4%の増加となっています。

2018年の動向

IN-INのM&Aについては、2017年に引き続いて、中小企業の後継者不足問題によるM&Aが加速することが予想され、引き続き小規模な案件の数が増えていくと思われます。

2017年12月に、中小企業庁により公表された「平成30年度税制改正(中小企業・小規模事業者関係)の概要」(http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2017/171225zeiritu.pdf)によると、中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置が創設されています。

中小企業等経営強化法が改正され、M&Aによる事業継承が支援の対象に追加されました。

経営力向上計画の認定を受けた事業者に対して、再編、統合を行った際に係る登録免許税や不動産取得税などが軽減されるようになります。

また、2017年11月には、野村ホールディングスが事業再生や継承に取り組む企業に、1000億円規模のファンドを設立して投資することを発表しました。

こうしたことが、中小企業の後継者不在によるM&Aをさらに後押しして行くと思われます。

2018年1~2月のM&Aの件数、金額は下記のようになっています。

マーケット 件数 成約金額
IN-IN 408件(前年比 47.3%) 4,955億円(前年比 28.7%)
IN-OUT 102件(前年比 9.7%) 2兆2,402億円(前年比 63.3%)
OUT-IN 30件(前年比 42.9%) 1,787億円(前年比 -48.1%)
合計 540件(前年比 38.1%) 2兆9,144億円(前年比 38.7%)

出典:株式会社レコフデー提供
参照:MARR Online  https://www.marr.jp/genre/topics/kaisetsu/entry/7976

成約件数では、IN-INの件数が最も多く、伸びも著しく、前年比47.3%となっています。

しかし、2017年の傾向と同様に、成約金額の割合は全体の17%と、IN-OUTに比べてかなり少なく、伸び率もIN-OUTの半分以下となっています。

このことから、短期間の数字ではありますが、2018年も大型案件はIN-OUT、小型案件はIN-INで行われている傾向にあるようです。

今後の動向予想

中小企業の事業継承関連の案件は、経営者の高齢化から今後も加速することは間違いないと思われます。

「平成30年度税制改正(中小企業・小規模事業者関係)の概要」では、M&Aだけではなく、世代交代に向けた事業継承時の税金の軽減措置を、10年間に限り行うことを明記しています。

つまり、今後10年の間は、世代交代や事業継承に向けた動きが増えるので、後継者がいない場合の譲渡に向けたM&Aも活発に行われると考えられます。

この他に注目されるのは、AI,IoT関連のベンチャー企業のM&Aとなるでしょう。

インターネット革命が起こってから20数年が過ぎ、現在のインターネット普及率は9割以上と言われています。

そして、今、「第4次産業革命」の時代と言われていて、今後10年余りの間には、インターネットと同じようなスピードでAIやIoTがさまざまな場面で普及していくことが予想されます。

これに伴い、AIやIoT関連のM&Aは、今後ますます加速していくと考えられます。

今回の第4次産業革命は、第3次産業革命までの場合と異なり、人の手を介することなくさまざまなものが自動化されて行くと予想されます。

AIやIoTの波に乗れた企業は、人件費削減や効率のいい仕事ができ、波に乗れなかった企業は、相変わらず人件費をかけ、効率の悪い仕事を余儀なくされることになります。

その結果、価格競争に勝てずに経営不振となり会社を譲渡する、という流れができてくる可能性もあります。