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M&Aの歴史を考えてみた

M&Aの歴史を考えてみた

M&Aの中には、合併、買収、分割などがありますが、これらの言葉は、かつて乗っ取りなどネガティブなイメージがありました。

しかし、近年では、経営手法の一つとして、注目を浴びるようになってきています。

M&Aが始まったのは1800年代に遡りますが、その歴史について考えてみたいと思います。

1800年代~戦前

1800年代のアメリカでは、基幹産業を中心に、企業が同業他社を吸収して巨大化することによって業界でのシェアを上げて行く、という戦略が行われていました。

巨大化することで、1企業でのシェアが独占的な状態になって行きます。

しかし、1890年のシャーマン法、1914年のクレイトン法により、独占資本の弊害を防止するための立法措置が取られました。

その後、会社の多角化を目的とした、本業とは別の業種の企業を買収するM&Aが行われるようになりましたが、手法などが確立していなかったことから経営もあまり上手くいかず、次第に沈静化して行きます。

やがて、1980年代にはファンドによる買収も盛んになり、1990年以降には、国内外をターゲットとしたM&Aも行われるようになりました。

戦前の日本でもM&Aが行われていました。

1800年頃から、政府が旧財閥系に官業の一部を払い下げたことにより、造船、炭鉱、金属などの工業化が行われ、財閥系の規模が拡大していきました。

1800年代後半~1900年代前半にかけては、戦争の需要もあり、日本の産業が発展するとともに、財閥系で盛んにM&Aが行われ、その規模を拡大していきます。

特に、当時の日本で主要産業であった紡績業において、M&Aが活発に行われたことにより、数多くあった紡績業関連企業の数は、一桁台にまとまります。

電力業界では、合従連衡が盛んで、発電網や送電線をめぐる競争と、M&Aによる事業拡大が行われてきました。

第一次大戦の頃に急成長した鈴木商店は、M&Aにより事業規模を拡大し続け、三井、三菱をも圧倒する勢いでしたが、1927年の金融恐慌で破綻します。

その後、鈴木商店の傘下の企業が、M&Aにより再編されて復活していきます。

また、日産コンツェルンも、傘下の企業へのM&Aを積極的に行い、石炭、水産、金融などの業種のコングロマリットを展開して行きました。

戦後~バブル期前

戦後、財閥は解体・分割されることになり、M&Aは影をひそめて行きます。1947年に制定された「独占禁止法」も、M&Aの停滞の要因の一つとなっています。

1970年には、日本製鉄と富士製鉄の合併により、新日本製鉄が誕生します。

また1971年には、第一銀行と勧業銀行が合併して第一勧業銀行が誕生するなど、いくつかの合併が行われましたが、それほど活発な状態ではありませんでした。

バブル期~現在

やがてバブル期を迎えると、日本企業は潤沢な資金力を得て行きます。

海外の企業の買収の妨げとなっていた為替規制が緩和されたことも手伝い、海外企業のM&Aへと目を向けるようになります。

1990代になると、ブームと言われるほど再びM&Aが急増していきますが、結果的には海外企業買収はうまくいかなかったケースも多かったようです。

バブルが崩壊すると、大不況時代に突入します。

収益力や国際競争力を回復することを目的とした「統合・再編」が盛んに行われる一方、IT関連の新興企業が出始めたのも、この頃です。

1997年の独占禁止法改正や、1999年の株式交換・株式移転制度を始め、その後十数年の間に、M&Aに関する法整備がなされたことにより、M&Aが加速して行きます。

リーマンショックや東日本大震災の影響などもあり、いったんM&Aは減少しますが、現在は再び盛り返しつつあります。

IT技術が進んだことにより、情報公開の伝達スピードも速く広くなり、またM&Aの手法も確立されたことにより、現在では「身売り、乗っ取り」というイメージから、「経営手段」というイメージとして定着しています。

そして、マイナス金利であることも手伝い、金融機関もM&A資金を積極的に貸し出しているという背景もあります。

高度成長期に設立された会社の場合、経営者が高齢になり、少子化により後継者がいない、あるいは、跡を継いでもらえないということも多くなっています。

また、不況や新興産業の台頭により、経営不振に陥る中小企業も多くなりました。

そのため、積極的に会社の譲渡を望むケースも多くなっています。

会社を買い取ってもらうことができれば、自身の資産確保と、従業員の雇用や事業継続も可能となり、さらなる成長も見込めることから、コストをかけて廃業するよりもはるかにいいからです。

近年、投資ファンドによるM&Aも多く行われています。

投資ファンドの場合は、その目的は事業拡大ではなく、買い取った会社を再生させ、時には上場させて、充分な利益を確保してから売却することが目的となります。

個人レベルでもM&A投資が行えるように

最近では大規模案件だけではなく、個人レベルでもM&Aが盛んに行われるようになりました。

一から事業を立ち上げるより、すでに実績が出ている事業を買い取って継承するほうが、収益や問題点も見えやすいからです。

例えば、飲食業の事業を継承した場合、すでに設備もあり、仕事に慣れているスタッフもいて、常連となるお客様もいますから、店舗を取得した当日から売り上げが見込めるわけです。

ネット上に公開されている様々なM&A案件を、いつでも誰でも見ることができます。

上場企業のような大型案件ではなく、中小零細企業の数十万円~数百万円いう小さなECサイトの売却案件を紹介しているようなマッチングサイトを利用すれば、個人事業主でもM&A投資を行うことができます。