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つくば市にて日本初のブロックチェーン投票実験!その結果は?

茨城県つくば市が、ブロックチェーンとマイナンバーカードを用いたオンライン投票実験を実施しました。

投票システムを開発した株式会社パイプドビッツは、実験は成功し、オンライン投票では実現が難しいとされてきた、正当性や秘匿性、非改ざん性を確保したと発表しました。

こうしたシステムの普及は、選挙における投票率の向上や開票作業の効率化、安全な経費の削減につながると考えられており、今回の実験成功には大きな意義があると言えます。

オンライン投票が抱える課題

オンライン投票とは、インターネットを通じて投票する仕組みのことです。

仮にこれが実現すれば、大幅な投票率の向上や開票作業の効率化などが期待できますが、一方で現状では解決しなければならない課題も多数あります。

特に大きな課題は

  • 正当性の確保
  • 秘匿性の確保
  • 非改ざん性の確保

の3つです。

正当性の確保

投票の正当性を確保するためには「投票権があるものは投票でき、ないものはできない」「投票数は1人1票」といった原則を守る必要があります。

また、オンライン投票ではそれに加えて、なりすましの予防も必要になってきます。これらはオンライン投票の大きな課題の1つです。

秘匿性の確保

オンライン投票で特に難しいとされているのが、秘匿性の確保です。

オンライン投票はインターネットを利用するため、間違ったやり方では、悪意ある第三者に情報を詐取される可能性があります。

非改ざん性の確保

オンライン投票の集計結果はデータですので、セキュリティに脆弱性があった場合、その結果が改ざんされる可能性があります。

本来はA候補のほうが得票数が多かったのに、B候補のほうが多かったかのように改ざんされる、などという事態はあってはならないことです。

今回採用されたシステムの仕組み

前述の課題を解決するため、今回のオンライン投票実験では、マイナンバーカードとブロックチェーン技術を用いたネット投票システムを採用しました。

これは株式会社パイプドビッツが開発したもので、以下のような流れで投票を行います。

  1. 数箇所ある投票所のいずれか1つに行き、そこに設置された端末でマイナンバーカードを読み込む
  2. 認証画面に署名用パスワードを入力して本人確認を行う
  3. 投票画面で投票を行う

この投票システムは、上記の問題点を以下のように解決しています。

マイナンバーカードを用いた本人認証で正当性を確保

マイナンバーカードに記載されている情報を読み取ることで、投票権の有無を確認しました。

また、電子証明書の署名用パスワードを認証画面で入力させることによって、効率的に投票の正当性を確保しました。

この仕組のもとでは、なりすましや複数投票などを行うのは実質的に不可能です。

公開鍵暗号基盤で秘匿性を確保

マイナンバーカードに含まれている公開鍵と秘密鍵、およびシステム側で用意した公開鍵と秘密鍵を組み合わせることによって、投票内容を暗号化し、秘匿性を確保しました。

投票者の情報と投票内容の情報は分離管理されるため、システム管理者であっても、誰が誰に投票したかを把握することはできません。

ブロックチェーンで非改ざん性を確保

データの改ざんが極めて難しいイーサリアム(時価総額2位の仮想通貨)のブロックチェーンを利用することによって、非改ざん性を確保しました。

投票結果は、ネットワーク上に分散保存されているため、中央のサーバーで保管するよりも遥かに安全です。

実証実験の結果

実証実験は、同市が推進している「平成30年度つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」を選出するコンテストの最終審査の一貫として行われました。

これは国が提唱する科学技術政策の基本方針「Society5.0」を実現するためのもので、一次審査を通過した13のプロジェクトを対象に行われました。

最終審査は、オンライン投票と審査員投票を併用したものになっており、両者の点数の合計が上位5位以内だったものが採用されます。

採用された場合、100万円を限度に補助費用が受けられる他、市内で実証実験を行ったり、普及促進サポートを受けられたりします。

今回の最終審査では、以下の5つのプロジェクトが採用されました。

発案者 プロジェクト名 プロジェクト概要
国立大学法人筑波大学 街が聞こえるナビゲーションとストリートサウンド 視覚障害者が安心して利用できる地図を提供するためのプロジェクト。ショッピングモールなどに地図情報が聞こえるサイネージを設置する。
プリンタブルセンサーコード技術研究組合 温度センサーとして機能するカラーコード(IoTシール)~産地の美味しさを食卓で~ 産地で味わった食品の美味しさを自宅で体験するためのプロジェクト。追跡可能な温度センサーを活用し、音頭の追跡可能性を確保する。
株式会社Co-LABO MAKER 研究開発リソースシェアリングプラットフォームによる既存資源を活かしたつくば活性化 つくば市内の研究資源を活用し、同士を活性化させるためのプロジェクト。研究機関や企業の設備や技術を登録し、リソースとインフラを提供する。
ペンギンシステム株式会社 健診時に嗅覚も検査することで認知症に早めに気付ける社会を実現! 認知症の早期発見を実現するためのプロジェクト。認知症の初期には嗅覚が低下することを利用し、嗅覚検査装置を健康診断に導入することによって早期発見を促す。
Blue Industries株式会社 ポータブル血液分析デバイスを用いた社会実装実験~医療費削減を目的としたセルフケア社会の実現に向けて~ 血液検査デバイスを開発するためのプロジェクト。事業内でモニターを募集し、使用感についてのアンケートを行い、その結果をもとに一般販売に向けた改善を行う。

 

なお、オンライン投票1位となったのは、以下の2つのプロジェクトです(どちらも審査員投票でポイントを稼げなかっため落選)。

提案者 プロジェクト名 プロジェクト概要
Icaria株式会社 尿中miRNAをバイオマーカーとした新たながん診断技術の創出 簡単かつ高精度な早期がん診断を実現するためのプロジェクト。がん患者特有の尿中物質の構成を、人工知能で分析する。
国立研究開発法人防災科学技術研究所 ビッグデータとAIを活用したリアルタイム被害推定情報による地域の防災力向上 災害発生直後の行政、企業、市民の最適な行動を実現するためのプロジェクト。被害推定情報とビッグデータを組み合わせ、被害を軽減する。

 

まとめ

今回のブロックチェーン技術を用いた実証実験は、日本初のオンライン投票を実現したものであり、将来のオンライン選挙実現に向けた第一歩と言えます。

一方で、この実験はあくまでも投票所で投票をするものであるため、投票者の手間を省けていないという欠点もあります。

投票者にとって、より快適で安全な投票実現のためにも、このような取り組みがどんどん増えてくれることを期待したいですね。

[記事公開日]2018.09.30
[最終更新日]2018.10.02
[ライター]佐久間